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海の上のピアニスト

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力を入れすぎないblog  それなりに暮す毎日


『ほんとうのジャクリーヌ・デュプレ』_d0063550_0281881.jpg


1987年に難病で亡くなった天才チェロ奏者、ジャクリーヌ・デュ・プレ。
彼女の実際の姉が妹について書いた映画で、どうして観たかと言うと、
私の好きなエミリー・ワトソンがジャクリーヌを演じていたからだ。

エミリーは一見可愛いのに、怪優で、変体のように不思議だ。

エミリーはチェロをマスターして、この映画に望んでいる。とはいっても
デュ・プレのような動きは出来なかったようだ。

チェロについては、昔、買った長谷川陽子の『ノルウェーの森』を久しぶりに
聞いて見たが、ピアノ曲よりも、どうして演奏する人が違うとこんなに
変わるのかと思うほどに、その音色が違う。
長谷川陽子の音には、実はがっかりで、泥臭くて、軽快感がなくて、
喜びを感じなかった。
チエロの音色の優しさや、包容力が感じられずに、ドスンとした重さが
気に成った。


今の所、やはりヨーヨーマが一番、自分には合う。
ヨーヨーマはデュ・プレのストラディヴァリウス『ダヴィドフ』を現在、
受け継いでいるが、2,3年前には、NYのタクシーの中に置き忘れて
いた事があった。
もしかしたら、天才と名の付く音楽家は、その名前から、離れて、
自分を確保したいのではないかと、私は意地悪く思ったものだ。

そう思うと、楽器という響きが重くのしかかる。


この映画の中の、音楽は良いし、エミリーと姉役のレイチェル・グリフィスの
対決が素晴らしい。
実力のある2人の女優のぶつかり合いは、2人の不満の集合のはけ口なのか?
ジャクリーヌは演奏旅行に疲れ、洗濯物を姉に送り付けたりして、これが、
実際の音楽家の実像かと思わせてくれた。

音楽だけでは、満たされない物を抱えて、ジャクリーヌは精神的に弱っていく。


*    *     *     *    *

1945年、オックスフォードに生まれる。
1967年、22歳でピアニストで、指揮者のユダヤ人、
           ダニエル・バレンボイムと結婚。
1971年、多発性脳脊髄硬化症と言う難病を発症。
1987年、42歳で死去。

後にヒラリー自身が兄ピエールとともに著書で明かしたところによると、当時のジャクリーヌは、自殺未遂を起こすほどの精神状態にあり、有名人としての生活から逃れたいこと、その道連れに義兄クリストファーを選び、男女関係をもちたいとの願望をもらすに至った。そのため、ヒラリーの同意のもとに、ただしあくまでジャクリーヌの神経が癒えるならとの前提のもとに、クリストファーとジャクリーヌの間で一度だけ性交渉が持たれたという。このエピソードはジャクリーヌの伝記映画においてもとり上げられ、遺憾なことに、普段はクラシック音楽を愛好しない人たちの間でも、世界的に有名なスキャンダルとなった。あまつさえ、映画が公開された翌年の1999年には、フィンジー夫妻の実子たちが、この相姦図をめぐって母ヒラリーの「同意」を激しく罵り、父クリストファーについては、自分のエゴを満足させたい時に、心を病んだ叔母を一度ならずもてあそんだ姦夫にすぎないと言い切った。(ウィキペディア)


どうしても、この話題がクローズアップされやすいと思うが、
私にとっては、どうでも良い事だ。

ジャクリーヌは、結婚にも恵まれずに、大きな孤独を抱えて生きて
いくしかなかった。
チェロとしか、会話が出来なかったのかも知れない。

音楽をあきらめて、平凡な生活を選んだ姉と、音楽家としての成功を
手に入れながらも幸福からは遠い存在のジャクリーヌ。

姉は実は、、妹の成功を羨ましいと思っていただろう。
ジャクリーヌが主役であるかのような、この作品において、姉は彼女と
同格の存在感を持っている。

昔の映画『ジュリア』の様に、一人の女性の物語ではなくて、あくまでも
すぐ隣で生きる運命の女性を描いている。
そして、お互いにその立場を羨ましく思う。

この点が、女性の浅ましさであって、軽い点だと思う。

『対比』する事で、自分の方が幸せだと思い込ませる手法?なのか。




姉が妹に、自分の夫を差し出す姿は、妹への最高のプレゼントなのだろう。
そういう意地を見せた姉も迫力があり、それが妹への『愛』からの物だったのか、
或いは、女としてのプライドからなのかは、わからない。

血縁という事を考えると、割り切れない物もあるはずだ。

幸せではなかったようなデュ・プレだが、本当に自分を解ってくれた人が
周りにいる事を幸せというのならば、彼女は、姉という存在に甘える事が
出来て、幸せだったのだろう。


彼女の死後、ジャクリーヌの本当の事実を暴露した姉には、
女性の怖さを見出せてしまった。

エミリー・ワトソンの真に迫る姿には、ジャクリーヌを観る事が出来るし、
脱帽という言葉しかなかった。



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# by sea1900 | 2005-11-19 00:21 | 映画


「  GO  」_d0063550_15365024.jpg


昨日、先生との話に「GO」が出たので、観ようと思い、夜に借りたDVD。

観ていく内に、チキンランとかを思い出して、すでに観ていた映画だと、
気が付いた。

先生はこの映画の感想を「これからの若い人は大変だね」と言っていたが、
私は、原作者である金城一紀の過ぎ去った、青春を描いた清清しさが残った。

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原作者   金城一紀
      作家。小説家。

1968年 埼玉県生まれ。国籍 韓国。慶應義塾大学法学部卒。

中学校までは朝鮮総連系の民族学校に通っていたとされる。

1998年 『レヴォリューションNo.3』で第66回小説現代新人賞受賞。

2000年 『GO』で第123回直木賞受賞。

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金城一紀は、2時間にも及ぶ作品の出来が良くなかったら、完成披露試写会
の舞台挨拶には、いないと言っていた。

作品が良く出来上がっていたのだろう。

主人公杉原(窪塚)の

民族・・・・・日本人じゃないんだ!
       暴力は嫌いだ。
       殴るのは嫌いだけど、殴られるのはもっと嫌だ!

と言う思いや、国境線なんか俺が消してやるよ!


広い世界を見ろ!
たくさんの価値観を知って、一番良いと思う価値観を持つという事。

などなど、金城氏の経験が語られている。

男として女としての、出会い。
出会って、初めて、『本当に、好きなんだ!』と確認出来たのに、
壁を越えられずに、主人公はコケル。

コケル事はアドリブだったと、監督は言うが、
考え抜いた挙句の果てに、こけている。

『人間なんて、そうやたらに越えられない』と語る監督は肩の力の抜けた人
だと思うし、自然体な爽やかさがある。

ミチコ(大竹しのぶ)は、センスがあって、リズム感がありおしゃれ。
大竹しのぶの演技力は、不思議な生活観をかもしている。


考えれば、夫婦関係がチャーミング。
良く、家出してふらっと戻り、また元の家族になっている。

形よりも、夫婦が深い部分で結ばれているから、元の家族に戻れるのだろう。
形だけで繋がっていると、夫婦も脆い関係だろう。

ふらっとどこかへ、消える空間が夫婦に良い影響を及ぼしているように思った。

杉原家の、子供に選択させる教育の仕方が、子供を伸ばしていた。
現在に在っては、珍しいのかも知れない。
親が小さな心配をして、子供の将来に、大きな迷惑を与えている。
夢のない将来だけが残るから、更に悪い。


息子の大きな壁になり、大きな力を与える父親(山崎務)は、世の中
に対する憎悪があり、それが、芯にある。

山崎務は、役の上で、息子を殴っている時に、『息子に教える』というよりも、
憎悪が入り込み、自分で、それを発見できたと語っていた。

行定監督は、俳優やスタッフを信じて、やりたいようにやらせて
やりたくなかったら、そのシーンをカットしても良いと考えている。

自由な考えからは、自由な役作りが生まれ、自由を大切にした作品が
生まれる。


生きている。
恋をする。
文句あっか!
というキャッチフレーズが、真に迫るのは、監督の
そういう自由な考えから伝わるのではないだろうか?

父親の心の暗部とも言える芯を、息子は知って乗り越えていく。
例え、それが、不恰好でも。
そうやって、生きていく運命だと知り、ただ、進む。

殺されてしまった友人は、大切な事を伝えたかったのかもしれない。
しかし、それは、ストーリーから思うと、結果的には『死』そのものを伝えた
かったのだと思う。『死』は、何よりも強い余韻を残して、存在するのでは
ないだろうか。


父を乗り越える勇気を、杉原に見出せた時に、
この映画が21世紀に向けて、無事に出発たのだと思う。
これは、いわば21世紀への『ノアの方舟』のようだ。

窪塚君のはっきりとした爽やかな顔が、個性的な映画を作っていた。


*     *     *     *     *

民族の問題、やたらに口には出来ないが、在日コリアンの友人の娘は、
現在大学生。青山まで、毎日電車で通っている。

高校進学の時に、少し離れた韓国の高校まで通うには、制服のチョゴリ
を電車の中で切られる事を親は懸念して、地元の日本の高校に通わせた。

新聞沙汰にはならないが、こういう事は切がないようだ。

人間として、広い世界を見て、生きたいもの。

基本的な家族のあり方や、親子の在り方、友人との係わり合いが、
形を越えた物としての、つながりを持って存在し続けるように望む。

それが、この映画や金城氏に対する、ほんの気持のお礼だと思う。






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# by sea1900 | 2005-11-18 15:28 | 映画
  

アトリエでの話。

電話が鳴った。
それは、「古い人形が壊れたので、直して欲しい」と言う物だった。

人形からそれは、この先生の作ではない事が判明したのだが、
よくあることらしい。

それで、昨日のメンバーは面白い人が多くて、『コピー』についての
話になった。

田口ランディの文章コピーの話や、ビスクドールのコピーの話等等・・・
田口ランディが和服好きだという事しか、私は知らなかったが・・・・

そういえば、少し前に読んだブログは、大塚愛の歌の歌詞をまねていた。
マア。、これ位は、許せるけれど・・・


ここでは、プライベートな話をしないで済むので、私はありがたい。
プライベートな話には、実りがないと思う。

映画や本や音楽、そういった共通話題があるのだから、そういう話が好きだ。

家の中の話は、どうも苦手だし、別世界でもある。
細かいし、永くなるものだ。面白くも無いだろう。

  

何も聞かないでくれるお仲間の方々、ありがとう。
楽しい話は、限りなくあるのだから。


年上のボーイッシュな女性が、急に京都の話を持出した。
私が、「柊やに泊まった事があったけれど、仲居さんの気働きがさすと
思いましたよ」と言うと、

「その気働きに、緊張して気働きに対する気働きをしなくちゃ、
成らなくなる!でしょ」と返された。

正に,応酬話法だった。






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# by sea1900 | 2005-11-18 02:38 | 人間
タケシの『暴力』という名の意味_d0063550_1515769.jpg


アトリエで、泯さんの話から、映画の話になった。
岩波ホールの映画が好きという事では一致する。

先生も私0型で、だからという事は無いけれど、
「タケシの映画を観たいとは思わない」と、意見の一致。

ただし、私は、少しは観ようと思っている。

そういえば、昔、映画館で『その男、凶暴につき』を見た。
スカッとした、暴力映画でも在った。

なぜ、その時、私はスカッとしたのかは、もう覚えていない。
思った事をその通りに進めていたからだったようにも思う。

思った事をそのまま実現出来るとしたら、本人はストレスが無いだろう。
しかし、他の人に、ストレスは移行するはず。

ジコチューな事柄は、暴力という言葉に吸収されている。

タケシと言う人は、言葉で表現するとしたら、正直な人ではないだろうか?

私は、今こうしてキーを叩くが、サンスイのステレオからは、音楽が常に
流れ出ている。
曲によっても、気分が変わるので、今はヨーヨーマのチェロ曲なのだが、
『映画監督 自作を歩く 50人』の、タケシを読むと、

『HANA-BI』
『その男、凶暴につき』
『あの夏、いちばん静かな海』

について、書いてあり、
最後の、『あの夏、いちばん静かな海』では、恋物語に潜む死という”暴力”
と書いてある。

暴力については、タケシの潜在意識に含まれる部分も大きな影響を及ぼ
しているはずだろう。

暴力の中に、見え隠れする本音を、分析と言う部類ではなくて
探ると言う言葉の元で、手探りしたいと思った。


『DOLL’S』は、観たくて観た映画だった。
恋と言う名の『暴力』だったようにも思う。
人形浄瑠璃のようだったが・・・・




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# by sea1900 | 2005-11-18 01:39 | 人間



田中  泯  独舞  透体脱落_d0063550_0401458.jpg


アトリエに着くと、先生は雑誌、ぴあを指差して、
「これでしょ、これ!」と言った。
この間、私が「観に行きませんか?」と言ったら、「行かない!」と
言っていたのに、嬉しそうに指差している。

再度、「面白いから行きましょうよ!」と言うと、「いや、いや!」と言っていた。


昨夜、帰宅するとチケットが届いていた。

透体脱落  田中 泯   独舞

チケットは古い写真を使い、裏にnoを入れたレトロな物だ。




田中泯さんに。


崩れて無くなるほどに、その体で、踊れ!

空気の中で、踊るのではなく、
空気と一体化して、踊れ。

全ての情熱を、解けてなくなる程の、熱い想いを持って、
踊れ!

3次元のこの世から、去り行け!


煩悩から解き放たれ、狂ったように踊れ、おどれ!

田中  泯  独舞  透体脱落_d0063550_0374475.jpg




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# by sea1900 | 2005-11-18 00:51 | 人間

by sea1900