『祇園の姉妹』
監督・原作:溝口健二
脚色:依田義賢
出演:梅村蓉子 山田五十鈴 志賀廼家弁慶 進藤英太郎 深見泰三
1936年
松竹
70分・白黒
人情に厚い姉と打算的で勝ち気な妹。この対照的な性格の京都の芸者姉妹を主人公に、どちらも男にもてあそばれ捨てられる女の現実を描いている。
女の人生も色々あるが、男への考えを対照的に持つ姉妹の面白さが、70年も前の
映画で、蘇る。
観ていると、人情家の姉が可愛らしく見えるが、男は家庭に帰ってしまう。
男を手玉に取って生きていると思い込んでいる妹も、実は、手玉に取られている。
満足感から言えば、姉の方が良いと思うし、妹の様な生き方では、結局、幸せには
成れない。
但し、芸子なので、一般女性とは違う。
そこを、2人は最後に嘆いていた。
『なんで、芸者という仕事があるのだろう?』と。
自分の運命を変えられない時代の、女の物語で、悲しい時代の話だった。
しかし、情緒溢れる祇園の背景は良かった。
人は今よりも謙虚に生きていたのだと思う。
梅村・山田の美しさが、白黒の画像の中で生きる古典だった。