金子國義氏のアダムの種
2006年1月26日(木)~2月7日(火)
Bunkamura Galleryにて
金子國義氏の新作を含む展示会が開催されている。
10時にGalleryに入り、一回りした時に、係員の中年男性がやって来て、
アリス系の可愛らしい絵を観ていた私に、
「こんな可愛いのも書くのに、奥のエグイのも書く人なんです。」と話しかけて来た。
『エグイ?』この表現は、この人の絵に対しては、無縁だと思う。
表面的な物に惑わされると、両極端な絵だと、映るのだろうか?
ステンレスの硬さを持ちながら、きちっとした構成で、かなり直線的なイメージ。
更に、そこに漂う計算された、100%表面化していない様なエロティシズム。
男性の描く絵だと、良く解る。
奥の絵は、黒色を効果的に用いて、男性のイメージを強化しているのだろうか?
黒が、写真では<べた塗り状態>にしか見えないが、ベースには、茶系の色を何層
かに塗っていて、最後に黒をかぶせたのではないかと思われる柔らかさを見せていた。
それにしても、美しい若い男達のon パレード。
すっかり、魅せられてしまった。
係員さんよ!
アリス風の可愛らしい、いかにも女性が好みそうな絵に、私が引かれたかと思ったら
大間違いです。
アリス風の絵の方が、考えれば一見可愛らしく見えるけれど、もしも、同じ部屋にいると
考えると、絵の毒に当りそうだ。私は落ち着けないだろう。
残酷にも見えてしまう。
奥の絵の、柔らかさが、心憎いところ。
今、思い出しても黒色の背景が、包み込む優しさには、安らぎを覚える。
金子氏は現在70歳、研ぎ澄まされた感性を無性に感じてしまう絵を見て、
今日は満足出来た。
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