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海の上のピアニスト

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力を入れすぎないblog  それなりに暮す毎日

2006年 11月 04日 ( 1 )

弟(山田孝之)と、兄(玉山鉄二)は両親のいない兄弟で、兄は弟の大学進学の為に泥棒をして帰ってきた初老の婦人ともみ合って殺人に至ってしまった。
そして、刑務所で服役するのだった。
『手紙』は兄と弟に間をつないでいるかに見えるが、兄にとっては既に現実の社会生活からは離れた世界で暮らしているので、現実を生きる弟に較べると、既に過去の人と成っている。塀の中では、過去も現在も未来も無い特殊な世界が展開するだけなのだ。罪人に対する社会的制裁と思えば当たり前なのだけれど、何とも思い空気だ。
しかし、孤独な生活を送る兄にとって、弟からの手紙は生きがいとなる大切な物。しかし、重い現実を背負わされた弟にとっては、兄は重しとなるだけだった。
弟が現実から逃れたいと思う気持ちは当然だし、兄が弟との縁にすがりたいのも当然だと思う。
そこで、救世主のように現れる由美子(沢尻エリカ)の強さが良い。弟を温かく見守りながら、<逃げてはいけない。>という教訓的な一言を示す。

<そんな事、わかっちゃいるけど、止められない!>というのが現実。
セリフの少ない兄、玉山鉄二のラストの演技は素晴らしくて、感情を抑えながらの精一杯の表情にもらい泣きしてしまった。
殺人に至った経過は、もう如何だって良いと思う。
一つの事件を通して見つめ合う事に成った兄、弟、由美子の心の軌跡は、本当に生きる事に一生懸命な時に初めて発揮された結果だったと思う。
加害者も、また、被害者であって、加害者の家族も被害者だと言う事を再確認の思いで見た映画だった。

また、由美子が弟の勤める会社の会長に当てた手紙を思うと、それは<癒し><許容>という意味だった。


弟が兄の事で、もがき苦しみながら生きる事を強要され、犯罪者の弟というレッテルを貼られる事は、どうしても仕方の無い事だろう。
血の繋がりの強さは、時として、一生逃げられないしがらみとなるので、仕方無い事だけれど、それなりの良さもあるはず。

「手紙」は、兄から被害者の家族にも、6年間届けられていた。
被害者の息子は、ある時、これは加害者の般若心経なのだと気づいたと言うシーンがある。そして、もう許そうと思ったと言う。

弟はその言葉に涙しか出なかったのだが、兄の心情が弟に乗り移ったようで、やはり他人には流せない涙なのだ。
家族にしがらみ、兄弟のしがらみ、そんな事を思うとそれが人間としての基本なのではないかとも思えるし、しがらみがあってこそ、その良さがクローズアップされるのだと思った。

このストーリーの中には、<手紙>が人と人の心を繋ぎ、それが生き物の様に息づいている。
だから、重い内容ながら、暗くならずに、自然体で現実を受け入れる事の出来る余裕を残していたのだった。

そして、小さな幸せをありがたいと思える作品に仕上がっていた。

食う、寝る、仕事する、愛し合う・・・・・・
そんな単純な事の繰り返しが、何て素敵なんだと思えてしまった。

生きていく事は、決して複雑な事じゃなくて、こんなにシンプルなのに、如何して難しくなってしまうんだろうか?

最後に流れる歌は、小田和正の
『あなたに会えて、本当に良かった・・・・』

ストーリー全体にあったかいものがこみ上げて来て、本当に良かった・・・・
ここで、ぐっと泣かせてくれた。
良い映画って、ラストのイメージが大切なんじゃないかな!



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by sea1900 | 2006-11-04 00:03 | 映画