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海の上のピアニスト

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『 ゆれる 』



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若干31歳という西川美和監督が描いた、『ゆれる』を見た。

その時、つり橋がゆれた。
そして、兄弟のそれまでの絆がゆれた。

私なら、そんなコピーをつけたい。。。。。

ゆれた事の、波紋と再生を描いたストーリーは、法廷劇を含んでいるが、単なるサスペンス映画とは、違っていて、オダギリジョー扮する、東京でカメラマンとして成功した弟と、実家のガソリンスタンドを経営する兄を演じる香川照之の、演技の深さが良かった。

演技の上手さではなくて、『深さ』を表現していて、2人の視線の向こうに、兄弟として育った年月が刻まれていて、その部分には、他人が寄り付けないのだった。と言うよりも、他人には、解らない愛情の起伏があって、その絆が痛く、染み込むのだった。


実家の商売の後継者となった兄は、真面目で優しく、女性にはもてないタイプ。
もてないから、女性の扱いには疎い。疎いから誤解も招いてしまう。

片や、弟は、逆のタイプだけれど、兄弟のどちらが幸せなのかは、解らない。

ガソリンスタンドで働くチエは、2人とは幼馴染で、もしも、弟が母の法事で帰郷しなければ、兄とチエは、それなりに職場恋愛に進んだだろうと思える。
しかし、弟との出会いがチエの目を覚まし、本当に愛されている訳ではないのに、sexに及ぶ。
弟は、兄とチエが仲良く仕事をする姿に、激しく嫉妬しただけだったのだ。

決して、口にはしない兄だが、弟の事はわかっていた。そういう兄の姿は、時には優しく思えるが、心の中での葛藤は言葉にはならない程だったと思える。

2人の兄弟の父親役は、伊武雅刀。よくいる田舎のおじさん風だが、寒い中で、洗濯物を取り込む姿や、ギクシャクしないで、このストーリーを受け入れられたのは、女性監督だったからだと思う。

香川照之の小心ぶりや、オダギリジョーが、兄の心を見破る瞬間など、とにかく2人の演技へのこだわり、演技への開眼が、つり橋の下を流れる水の様に、まばゆい。

大金をかけた映画が、『大作』と呼ばれるならば、
この映画は、『心に染み渡るような心理劇』だろう。

日本映画もココまで来たか!という程の出来だと思う。


武蔵野館での、立ち見の2時間は、吸い込まれるような展開に、中だるみもなくて、観客の気迫を波動のように感じたのだった。




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by sea1900 | 2006-07-13 22:07 | 映画