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海の上のピアニスト

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『オリバー・ツイスト』



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毎月1日は、映画の日で、水曜日はレディースディで、ロビーには
大勢の中年男女の姿があったけれど、『オリバー・ツイスト』は、
女性ばかりが目立っていた。

開演ぎりぎりの時間に入ったら、丁度、白黒の絵が映されて、始まった。


私は、ロマン・ポランスキー監督なので、どういうオリバーを誕生させるのだろうかと
期待していた。
それは、大昔、ナスターシャ・キンスキーと言う世界的な女優が16歳位の時に、
監督の愛人だった事を思い出させる。
監督の作品の中で、1979年に、ナスターシャがヒロインだった大作『テス』は、
今も心に残る物だ。


1968年 ローズマリーの赤ちゃん   
1979年  テ  ス
1992年 赤い航路
1999年 ナインスゲート
2002年 戦場のピアニスト

監督と、ケース・バイ・ケースで、製作と脚本もこなしている。

『戦場のピアニスト』では、アカデミー賞の監督賞に輝いているが、
私は『赤い航路』が、印象的だ。

『戦場のピアニスト』では、ユダヤ人の事がクローズアップされていて、
『オリバー・ツイスト』では、ユダヤ人の血を引くサー・ベン・キングズレーが
ユダヤ人の泥棒頭のフェイギンを演じている。

そして、監督もユダヤ系なのだが、『オリバー・ツイスト』の中では、ユダヤ人
という事は特に、取り上げられる事もなかった。

昔、初めて私が観た『オリバー・ツイスト』は、1948年作の物だったと思われるが、
白黒画像で、今日観た物とは明らかに違い、19世紀のロンドンを、暗く重く描いて
いたと思う。
ストーリーの清らかさが、それらの背景とは対照的で、美しく心に残った。


生きる事に精一杯で、親の無い子供達が、教育どころか、足りない食事しか
与えられず、貧しいとは?ひもじいとは?とどういうことなのか、考えさせられる。

天蓋孤独な少年オリバーの、素直で、スポイルされずに、心優しく、正しい姿が
数々の困難に立ち向かいながらも、幸せになるまでを描いているのだが、オリバー
役のバーニー・クラーク少年の目には、19世紀の悲しさが込められている。

ダークな部分を取り除けない時代だし、生きていく為には、フェイギンの存在も
子供達には、必要だったと思う。

サー・ベン・キングズレーは、特殊メイクで、彼とは解らなかった。
最近の『砂と霧の家』での強い姿を思い出せない位の、完全な別人。
力のある俳優の一人だと言えるが、力というよりも、役作りに賭ける集中力の
凄まじさを感じる俳優だと思う。
演技力とは、別名、集中力だろう。

悪者ではあっても、面白さもあって、ラストでは、精神錯乱状態が上手い。
オリバーが、フェイギンを哀れに思う姿も、オリバーの成長する姿で、クライマックス。




発展途上国に行けば、まだまだ、<オリバーの世界>は存在しているし、
無くなる事は無いと思う。

そう考えると、時代を超えた話しとしての、存在理由がある。

人との出会いは、確かに自分の意思だけでは無くて、運命的だと思う。
しかし、自分が正しく生きれば、同じ様な価値観の人間に、囲まれる。

そう考えると、どんな時代でも、素直で清く、明るく、正しいと言う生き方には、
不滅の良さが在るのだと思える。

監督の2人の子供達を、チョイ役で、登場させたのは、次の世代に語り継いで
貰いたいと思う映画だからであり、子供達にも、見て欲しいと願ったのだろう。


全体的には、昔観たオリバーよりも、綺麗でほっとした。

世界的な名作を、監督は、偏った考えも無く、綺麗な映像と共に、しみじみとした
良さを残してくれた。

アメリカでは、制作費80億円を掛けた『オリバー・ツイスト』は、興業的には
振るわずに、全く話題にもならず、大失敗と言われたそうだが、
歴史物は、背景を見るだけでも、価値があるものだ。

今の時代にあって、こういう作品の影響を考えると、不可欠だろうと思った。


最後に、忘れられない犬の存在を書きたい。
良く、訓練されているマスチフ犬で、顔の黒と白のバランスが面白かった。

昔の作品には、犬が登場したかどうかは、覚えていない。
どうだったんだろう!




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by sea1900 | 2006-02-02 01:03 | 映画