『プライドと偏見』
18世紀のイギリスの上流社会では、女子の相続権が認められていなかった為、
『結婚』こそが、女性の生きる道だった。
田舎町に住んでいるベネット一家には、娘ばかり5人もいて、美しく控えめな
長女ジェーン、読書好きで、知的な次女のエリザベスが、結婚適齢期。
『結婚』と言う永久不滅のテーマの中で、誤解や偏見の為に、真実が見出せない
状態を描き、最後には、本当の自分の姿に気付くまでの話しで、結婚話が、
二転三転する所も面白い。
しかし、良く観ていれば、5人姉妹の中の上の2人が、誰と結婚する運命なのかは
すぐに解るのだけれど・・・・
女性の書いた文芸大作と言う物は、男性が書いた物よりも、現実的だと思える事
がある。
夢物語として描かないで、細かいフォローもあって、解りやすい。
エリザベスの言葉の理知的で、面白い点や、ロケーションに、貴族の城が幾つか
使われ、芸術性の高さや、田園風景が物語に、重厚さを加えて美しい。
さすが、歴史ある英国貴族の物語で、これらを見るだけでも価値が有ると思える。
ドナルド・サザーランドが父親役で、エリザベスのよき理解者として、登場し、
エリザベスとの会話にも渋いウィットが感じられ、良い味をかもし出している。
母親役のブレンダ・ブレッシンの面白さは、決して下品ではなくて、
可愛らしいけれど、コミカルで、憎めない。
よく、足をぷらぷらさせていたり、イギリス民謡をハミングしていたりして、ほとんど
子供状態で、気取りを知らないおばさんだった。
こういう話は、『若草物語』と似ていて、最後には、何が一番大切なのかを
伝えようとしている。
原作者、ジェーン・オースティン(1775-1817)は、21歳の時に『高慢と偏見』の
オリジナル版を書き上げている。
その後、エリザベスのように、結婚に悩み、結婚を解消する事もあったそうだ。
階級制度のあるイギリスでは、『愛』が階級を越えられるか、否かと言う問題は、
現在でも続いているだろう。
しかし、人は皆、愚かな生き物だから、真実を見ないで生きたとしても
同じ一生を送る事になる。
永さよりも充実を望むならば、自分の心にウソは付けないと思う。
キーラ・ナイトレイは、生き生きとエリザベスを演じ、はまり役でもあった。
ダーシーの心が解り、自分と同じ様な性格だと気づき、誤解を解いていく姿に
エリザベスの聡明さを見つけ出せる。
ダーシー役のマシュー・マクファディンは舞台出身で、寡黙な存在のダーシーを
演じていて、『嵐が丘』の、ヒースの様な雰囲気を放っていて、カッコ良かった。
男は、ぺらぺら話すよりも、これ位の方が男っぽいと思える。
キャサリン夫人のジュディ・デンチに至っては、私は、何も言いません。
存在感の重さは、最高で、英国を背負っているとしか、思えませんから。。。。。
怖さだけは、倍増しているように思います。
(by レイトショー)
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