ブログトップ

海の上のピアニスト

sea1900.exblog.jp

力を入れすぎないblog  それなりに暮す毎日

『シャンドライの恋』

d0063550_23405963.jpg



ヒロインのシャンドライ(タンディ・ニュートン)は、軍事政権下のアフリカで、
反体制の教員の夫を逮捕され、イタリアに亡命して来た。

ローマで、シャンドライはイギリス人ピアニストのキンスキー(デイヴィッド・
シューリス)の家で、家政婦として働きながら、祖国を救うべく医師に成る為に
医学校通っている。

シャンドライの部屋は一階で、キンスキーは上に住んでいる。
この2人を繋ぐのが、螺旋階段で、これが美しい。

セリフの少ない映画で、繊細な心を表現出切るのは、言葉ではなくて視線や
音楽のみだ。

キンスキーが弾くモーツアルトの『幻想曲』や、バッハの
『平均律クラヴィア曲集』
そして、シャンドライは、アフリカのポップ・ミュージカルを聞いている。

異文化のルーツの違いは、ラストでは、融合する。
正に、異文化コミュニケーションの素晴らしさ!

キンスキーは最初から、シャンドライを好きではなくて、愛している。
そんな事は、すぐに解る。
不器用なキンスキーの愛の表現は、見ていても恋愛の初歩で、たどたどしい。
『愛する』幸せに自己満足の喜びを隠せない。


シャンドライは、キンスキーに愛を告白された時に、「だったら、夫を
刑務所から出して!」と叫び、キンスキーはシャンドライに夫がいる事を
知った。

セリフの少ない映画の中で、シャンドライは良く働き、美しい表情を見せる。

キンスキーは裕福な叔母から相続したアパルトマンの自分の部屋の中に
あった彫刻や絵画を金に換えて、ピアノしか残らなくなる。

そして、ピアノもシャンドライの為に、夫を助ける為に換金される。

シャンドライは初めて、キンスキーの献身的な愛を実感出来て、
受け入れる。


自己犠牲の元、キンスキーはシャンドライを愛するが、シャンドライに
とってはいたたまれない愛だと思う。

女性は、2人を同時に愛せないのだ。

切なくて辛い映画で、数少ない名作の一つに入るもの。
ドキュメンタリー・タッチやづローモーションなどを加えて、低予算でたった
23日間で撮られた映画だが、ベルトリッチの代表作と言っても過言では
ないだろう。


静かな愛は、静かに観客を諭すもの。
思われる事が、シャンドライの運命さえ変えるかもしれなかった。



但し、私は、自分には、献身的な愛など邪魔になるだけだと考えている。
献身的に愛されるから、愛さなければ成らないと思うと、窮屈さが生まれて
本当の愛ではないと思える。

キンスキーの愛は、本当の愛かもしれないが、考えれば残酷でもある。
(私の考えから行くと、とても映画にはならない!)

しかし、世の中の多くの女性は、思われる愛を受け入れている。
愛する事よりも、愛されている方が楽だし、気分が良いからだろう。

安易に考えると、安易な恋愛しか出来ないはず。
そんな結果を考えると、つまらないと思う。


しかし、あくまでも、この映画は素晴らしくて、音楽、セリフ、表情、セットが
何ともバランスが良かった。
 
そして、詩的な世界感があるようにも思えた。
(ベルトリッチの父親は有名な詩人だし、彼も小さい時から詩を
書いているから、それが、にじみ出ているのだろう)









→不器用な愛
の好きな方は、クリック御願いします。
[PR]
by sea1900 | 2005-12-30 00:53 | 映画