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海の上のピアニスト

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『娼婦ベロニカ』


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一昨日観た『ヴェニスの商人』と同じ様な時代を描いた、この映画は
どうしても心に残っている。
一つ間違えば、どうしようもない映画の様なタイトルだが、時代が時代
なので、現代の娼婦とは、意味が違う。

舞台は1583年のヴェニス。
『ヴェニスの商人』の舞台は1596年なので、13年前の時代になるが、
衣装や建物、内装などは、ほとんど変わらないだろう。


映画『ブレイブ・ハート』では、、舞台はイギリスで、メル・ギブソンの恋人
役で、はかなくも命を落としていく恋人を演じ、その純粋な愛を貫く姿が
美しいキャサリン・マコーマックが、ベロニカを演じた。

ベロニカ役は、キャサリンの他には務まらないだろうとさえ、思わせてく
れる物がある。

それは、ただの恋する乙女が、当時の時代を考えて、自分を見つけ出す
為に、高級娼婦になる流れが、洗練されない可愛い顔から、レディへと
変身するあたりをキャサリンの顔の変化が物語っているからだ。

ベロニカは実在のベロニカ・フランコと言うイタリア文学史に名前を残す
詩人であると言う。

ベロニカは愛する男性と、身分違いの為、結婚出来ないので、せめて、
その男性のそばにいられるようにと、高級娼婦・コーディサンになる。

今時のお金欲しさの売春とは、全く意味が違うので、勘違いしないで欲しい。

当時、女性の地位はなく、女性は男の所有物としてしか扱われず、お金の
無い娘には、まともな結婚も出世も無かった。

お金の無い娘は、読書をして学び、教養や礼儀を身に付けて、特権階級の
男達と接触して、金持ちになるには、コーディサンになる事しか道がなかった。

コーディサンは教養、礼儀、教育、は勿論、磨かれた美貌と成熟した体を
持ち、レディとして洗練されていなければならない。

それまでの貧しい家から、ベロニカを気に入った男からのプレゼントが山の
如く届く。水の都だから、交通手段は、運河を流れるゴンドラと言うのも
面白い。

ヴェニスは絵画のように美しく、愛と官能の世界がそこに展開する。
当時、ヨーロッパの貿易の要として発展したというヴェニスがそこには、ある。

このセットはチネチッタスタジオで作られ、ロケーションはイタリアの
古城などで、行われたと言う。

ベロニカは、フランスのアンリⅢ世の相手として、コーディサンの中から
選ばれて、その知性で、ベネチアを戦争の危機から救うまでに活躍した。

ベロニカをコーディサンの世界に薦めた母親(ジヤクリーン・ビゼット)は、
自分もまた、過去コーディサンだった。

「自分がそうだったように、貴方も見事なコーディサンに成る素質がある!」
と語る母は、娘の全てを知り尽くしている様だった。

ベロニカは心から愛するマルコを忘れた事はないが、ベロニカにもプライド
がある。

マルコの妻(ナオミ・ワッツ)は愛情の無い結婚をしていて、妻と言う立場で生きているので、
ベロニカの存在を、内心羨ましく思いながらも、ベロニカを許せない。

この辺は、映画『長崎ぶらぶら節』の中で、妻役の石田あゆみが、芸者役の
吉永さゆりを、いつも夫といられて羨ましく思う姿と同じだ。

妻と言っても、愛がない結婚は、女性を哀しくさせる。

その哀しみが、黒い服しか着ない地味な妻を、悪人へと駆り立てる。
他の妻達も、<ベロニカは魔女だ!>と叫び、裁判となる。

昔も今も、女性は、目の先の物しか観ようとしないし、全盲状態だ。

羨ましい気持が、やっかみとなり、嫉妬する。

だから、400年前の話でも、共感出来る。
源氏物語だって、同じ事で、女は愛が無ければ生きられないのだろう。
だから、面白いし、男も生きられるのだろう。
男も女も、ただ、賢いだけではつまらないし、物語も始まらない。

バカらしい嫉妬も、大事なスパイスになるから、人間はどろどろしている。
それが、普通の事だろう。
枯れてしまえば、、何も感じなく成ってしまう。


私はこの映画の中で、ベロニカが剣で戦うシーン(写真)が,1番好きだ。
スタイルも良いし、動きが綺麗で、キャサリンの魅力が溢れている。
イキイキした表情に、活気があり、ラストの馬に乗るシーンよりもカッコいい。

イタリアの生地は、現在でも素晴らしく、美しい。
衣装が素晴らしいのも、うなずけるのは、この生地からも言える。

抑圧された時代にあって、自分らしさを失わずに、生き抜けた女性だ。
自由な時代にあっても、自分らしさを失って生きる女は多い。

どこが、違うのだろうか?

全ては、愛の強さと知性の差なのだと思う。

恋する人には、必見の一作だろう。そして、女性には。
折角、いい映画を自由に観られるのだから、絶対に観て欲しい。

それ程、素晴らしいと思う。

1593年のロンドンが舞台の『恋に落ちたシェークスピア』では、
グウイネス・パルトロウが1999年アカデミー賞の主演女優賞を取った。

同じ年に作られた『娼婦ベロニカ』は、上記の映画の製作プロが姉妹編として
送り出した作品なのだが、『恋に落ちたシェークスピア』を、甘ったるい恋する
映画で、子供向き(年齢ではないけれど)と観た私は、なぜ、
キャサリン・マコーマックが主演女優賞を取れなかったのかと、
腑に落ちない。

おそらく、映画を見慣れた方が観たら、お解りかと思う。

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実は昨日、私は友人とイタリア映画について話した時に、
『娼婦ベロニカ』の話をしたら、これは、聖書にある『娼婦ベロニカ』の
リメイクだろうと言われた。
しかし、どうも、違うようでも或る。

聖書に登場するのは、マグダラのマリアだけかと思っていたので、
もしかしたら、たまたま、同じ名前だったと言う事なのだろうか?


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by sea1900 | 2005-12-01 00:54 | 映画