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海の上のピアニスト

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「  GO  」



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昨日、先生との話に「GO」が出たので、観ようと思い、夜に借りたDVD。

観ていく内に、チキンランとかを思い出して、すでに観ていた映画だと、
気が付いた。

先生はこの映画の感想を「これからの若い人は大変だね」と言っていたが、
私は、原作者である金城一紀の過ぎ去った、青春を描いた清清しさが残った。

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原作者   金城一紀
      作家。小説家。

1968年 埼玉県生まれ。国籍 韓国。慶應義塾大学法学部卒。

中学校までは朝鮮総連系の民族学校に通っていたとされる。

1998年 『レヴォリューションNo.3』で第66回小説現代新人賞受賞。

2000年 『GO』で第123回直木賞受賞。

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金城一紀は、2時間にも及ぶ作品の出来が良くなかったら、完成披露試写会
の舞台挨拶には、いないと言っていた。

作品が良く出来上がっていたのだろう。

主人公杉原(窪塚)の

民族・・・・・日本人じゃないんだ!
       暴力は嫌いだ。
       殴るのは嫌いだけど、殴られるのはもっと嫌だ!

と言う思いや、国境線なんか俺が消してやるよ!


広い世界を見ろ!
たくさんの価値観を知って、一番良いと思う価値観を持つという事。

などなど、金城氏の経験が語られている。

男として女としての、出会い。
出会って、初めて、『本当に、好きなんだ!』と確認出来たのに、
壁を越えられずに、主人公はコケル。

コケル事はアドリブだったと、監督は言うが、
考え抜いた挙句の果てに、こけている。

『人間なんて、そうやたらに越えられない』と語る監督は肩の力の抜けた人
だと思うし、自然体な爽やかさがある。

ミチコ(大竹しのぶ)は、センスがあって、リズム感がありおしゃれ。
大竹しのぶの演技力は、不思議な生活観をかもしている。


考えれば、夫婦関係がチャーミング。
良く、家出してふらっと戻り、また元の家族になっている。

形よりも、夫婦が深い部分で結ばれているから、元の家族に戻れるのだろう。
形だけで繋がっていると、夫婦も脆い関係だろう。

ふらっとどこかへ、消える空間が夫婦に良い影響を及ぼしているように思った。

杉原家の、子供に選択させる教育の仕方が、子供を伸ばしていた。
現在に在っては、珍しいのかも知れない。
親が小さな心配をして、子供の将来に、大きな迷惑を与えている。
夢のない将来だけが残るから、更に悪い。


息子の大きな壁になり、大きな力を与える父親(山崎務)は、世の中
に対する憎悪があり、それが、芯にある。

山崎務は、役の上で、息子を殴っている時に、『息子に教える』というよりも、
憎悪が入り込み、自分で、それを発見できたと語っていた。

行定監督は、俳優やスタッフを信じて、やりたいようにやらせて
やりたくなかったら、そのシーンをカットしても良いと考えている。

自由な考えからは、自由な役作りが生まれ、自由を大切にした作品が
生まれる。


生きている。
恋をする。
文句あっか!
というキャッチフレーズが、真に迫るのは、監督の
そういう自由な考えから伝わるのではないだろうか?

父親の心の暗部とも言える芯を、息子は知って乗り越えていく。
例え、それが、不恰好でも。
そうやって、生きていく運命だと知り、ただ、進む。

殺されてしまった友人は、大切な事を伝えたかったのかもしれない。
しかし、それは、ストーリーから思うと、結果的には『死』そのものを伝えた
かったのだと思う。『死』は、何よりも強い余韻を残して、存在するのでは
ないだろうか。


父を乗り越える勇気を、杉原に見出せた時に、
この映画が21世紀に向けて、無事に出発たのだと思う。
これは、いわば21世紀への『ノアの方舟』のようだ。

窪塚君のはっきりとした爽やかな顔が、個性的な映画を作っていた。


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民族の問題、やたらに口には出来ないが、在日コリアンの友人の娘は、
現在大学生。青山まで、毎日電車で通っている。

高校進学の時に、少し離れた韓国の高校まで通うには、制服のチョゴリ
を電車の中で切られる事を親は懸念して、地元の日本の高校に通わせた。

新聞沙汰にはならないが、こういう事は切がないようだ。

人間として、広い世界を見て、生きたいもの。

基本的な家族のあり方や、親子の在り方、友人との係わり合いが、
形を越えた物としての、つながりを持って存在し続けるように望む。

それが、この映画や金城氏に対する、ほんの気持のお礼だと思う。






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by sea1900 | 2005-11-18 15:28 | 映画