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海の上のピアニスト

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「春の雪」清顕と聡子の追想物語





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「春の雪」の感想が出揃った所で、私はこのビデオを今、見終わった。
前半が、映画のあらすじで、後半には監督、妻夫木聡、竹内結子の
各人の作品への感想や思いが語られていた。

竹内結子
出演が決まってから原作を読んだ。
文章から入ってくる映像がきれいで、それが痛々しくも在る。
清顕は、不思議な男性像で、ゆがんでいると言うのかよじれていると
言うのか?
でも、気づいたら、どうしようもなく引かれている。
妻夫木君に対しては、爽やかで、いつも楽しい男性ではなく、
何か他の違う所を見ている不思議な存在で、気が付いたら
引き込まれると言うのも、解った。
愛とは、失ってから気づく物なのかな?
そういう哀しい所が、魅力的。

当時は、<女性は月である>と言われ、誰かの光を受ける事で生きていく。
この時代の<恥じらい>って難しい!

竹内結子は、思っていたよりも現代っ子で、大正時代が戦国時代のように
古く感じていたように、私には聞こえた。


妻夫木聡
内容が濃いので、衣装から全て時代出来劇だった。
愛してはいけない
ある事をきっかけに好きだったんだ!と気づく事。
自分にも経験があって、切ない恋愛が解った。

美しくもはかない恋愛。
後先考えずに、今を生きる。
最初に結ばれた時の幸福感が好きだ。


思ったよりも大人になった妻夫木君の姿を見て、竹内結子よりも
深い思考を感じた。


行定 勲監督
三島由紀夫という才能に対して、三島文学からどうやって離れて
構築出来るかどうかが、この映画の課題でもある。

妻夫木君に対しては、動きと流れだけ説明して、こういう気持で
やった方がいいんじゃない?と言っても誤差が無かったので、
妻夫木君の清顕を作って行った。

三島由紀夫は感情の浮き沈みが大きい。

原作通りでは無くて、闇、愛、醜さ、美しさの表現は違うが、ストーリー
は、同じ物。
共感して頂けたら、これからの日本映画の第一歩と成るようにしたい・・・・


監督のこだわりは、やはり究極の純愛のようだ。

そして、喪失の物語。
失って行く物を見る物語。ここで、こういう行動を起こさなければ、
と言う話なのだと、語る。


「愛」美しいが脆く、はかない愛もある。
しかし、純愛を描く事で、人は夢を観ることが出来る。

こんな愛に包まれて生きてみたいという、願望があるものだ。


監督の「セカチュー」を見ると、これも純愛なのだが、監督はこういう話しが、
好きなのだな~と思う。
それは、もしかしたら、「純愛」への憧れであって、純愛の使命を重く考えて
いるようにも思う。

しかし、爽やかそうで、若いこの監督の自由さが、妻夫木聡と、
竹内結子という若い俳優を、大正時代の純愛を絢爛豪華な背景の元で、
花開かせてくれた事には、間違いの無い事実だった。

このビデオでは、3人に焦点を当てて,まとめている。
監督の自然なさりげなさが、美しいが散り急ぐ桜のように、
手の上で溶けてしまう春の雪のように、爽やかに思われた。


爽やか故に、どこか軽い点もあり、緻密な計算の無いざっくりとした
作品でもあると思った。




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by sea1900 | 2005-11-10 22:50 | 映画

by sea1900