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海の上のピアニスト

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「 春の雪 」

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原作はすでに読んでいたので、雪をどういう風に降らすのかとか
マーラーの第5番が何処に組まれているのかを知りたかった。
また、大正時代の和服姿を見たかった。
内容は、妻夫木君と竹内結子との「春の雪」であって、私は、三島由紀夫の
「春の雪」を期待していた訳ではない。

戦前の日本には、皇族の下に「華族」制度があり、侯爵家の跡継ぎ・
松枝清顕と、伯爵家のご令嬢・綾倉聡子の激しくも悲しい恋を描いている。
宮様と婚約した聡子と禁じられた不倫に、身を焦がし、結果的には
天皇への反逆行為をする。

清顕は死に、聡子は中絶手術の後、尼になる。

原作では4部の「天人五衰」で、聡子は月修寺の住職となり、高徳な尼僧
として、再び登場し、清顕を知らないという。
清顕は、聡子の心の中に閉じられたのだ。


ただし、この映画では、最終的にプロデューサーから清顕と聡子の恋愛映画
としての「春の雪」、そして輪廻転生をこの作品に絞り込んだと言う。
そして、この輪廻転生が永遠の愛に繋がると言う。


大正時代の和服の着こなしが、聡子を優雅な世界に住まわせ、
マーラーの五番が時代という重さに、対抗しているようだった。

竹内結子は、向かって右の顔が優しく、左は強かった。
彼女の姿は、妻夫木君よりもしっかりとした重みを感じる。
24点の衣装を我が物として、堂々と公開出来ていた。


聡子の子役、志田未来は、色んな物議をかもし出したドラマ、「女王の教室」
で、真っすぐないい演技を披露していた。
ここでも、真っすぐな聡子が生きていた。

蓼科役の大楠道代は、妖気が漂い、いつの間に、あんな歳に成ったのか?
と思った。老女と言うには失礼だけれど、原作の迫力に匹敵するかな?と思う。


松枝の祖母役の岸田今日子は、戦死した2人を思い、清顕の父の贅沢さ
や生き方を嘆き、時代を思う。

この中では、東京と奈良の冬の雪(2月)が降る。それは<冬の雪>であって、
「春の雪」ではない。
春の雪は柔らかく、解けやすい物で、清顕と聡子の心に降り続ける雪は、
いつまでも「春の雪」なのだろうか?
そんな程度の淡い恋だったのだろうか?

心から疑いのない愛を貫くのは、やっぱりいいと思う。

そういう視点からの「春の雪」は、純粋で美しかった。
大正から昭和への、これからの憂える日本を思うと、最後の雪を見るような
気分でもあった。

行定監督の「世界の中心で愛を叫ぶ」を見た世代の人がこの作品を、
「セカチュー」続きで見る事を思うと、、全体的には、十分だと思う。


ただし、私は「蝉しぐれ」のよさに触れてしまっているので、時代の違いを
考慮しても、物足りなさが残ってしまった。
 (マーラー第5番を聞きながら書いたが、次は<さゆり> に期待したい!)






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by sea1900 | 2005-10-30 03:00 | 映画