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海の上のピアニスト

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力を入れすぎないblog  それなりに暮す毎日

せみしぐれ

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予告を見て、良さそうだと思っていた。
原作者の藤沢周平氏は、、自分の出身地である山形県、鶴岡市を舞台に
海坂藩に生きる人間を描き、親から子供へ、受け継がれる生き方、青春
友情、そして、思い続けた一人の女性を描いた。

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夏の朝、文四郎は小川で顔を洗う。
近くにいた、隣の家の娘フクがヤマカカシに指を噛まれる。
それを文四郎は、口ですう。

スタートから、山形の美しい自然が日本の宝物のように、
丁寧な表情を見せていく。

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しんしんと降り積もる重い冬や、セミの鳴く夏の日が、
米作地帯の庄内平野の中で、繰返される。
とにかく素晴らしいロケーションが、すごい勢いで、江戸時代に運んでくれた。

フクは、藩主の側室になり、その子供が後継者争いの中心となり、
文四郎は、フクと赤ん坊を救い出した。その時、そっとつかんだ文四郎の
袖は、昔、花火の夜にフクがつかんだ袖と同じだった。

初恋がかなわず、それぞれの道歩んだ二人だったが、
共に、歩めなかった事だけを悔いながら、時間だけが、経ってしまった。

庄内平野の平坦な地形の中にあって、切腹した父を車に乗せて家に帰る途中、
すごい坂がある。
この坂で、文四郎はフクの助けを得て帰る事が出来る。
ここが、子供時代の見せ場になっている。
文四郎の事を思うフクのけなげさが、可愛い。
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文四郎役の市川染五郎は、さすがに着物が似合い、「気高さ」を持ち
集注力のある演技で、刀を振った。
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最後の10分間の、木村佳乃の美しさは、菩薩のようでもあった。
着物と日本髪が似合うのは、やはり女優ならではの、風格だ。

小さな藩の跡継ぎ問題が、これだけの犠牲を払うのだから
徳川家の問題はさぞや、大問題だったと、想像できる。

80歳になった大滝秀治や文四郎の母役の原田美枝子、
田村亮とベテラン陣の演技は安定している。

面白いのは、額の広い渡辺えりこが、遊郭にいた。
ひょうきんで、セリフは少ないのに、おかしかった。

里村左内役で、加藤武が出ていて、文四郎が
「死に行く物の気持は、死に行く物の気持は!」と言いながら、
父を死に至らしめ、自分を罠にかけた里村に、刀を振り下ろす。

しかし、命ではなく、そこにあった台の脚を切っただけだった。
ここで、里村を切ったら、死に行く物の気持を、少しでも
解らす事は出来なかっただろう。

動くおもちゃで遊んでいた、里村の顔が、引きつり固まり、フリーズ!
お運びのからくり人形だけが、動いていた。

ここのアングルが面白くて、良かった。
加藤武は、日本映画の、名脇役という名にふさわしく、
ここでも、どうしようもない悪役が疑う余地もない勢いで、
似合いすぎていた。



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by sea1900 | 2005-10-13 00:26 | 映画