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海の上のピアニスト

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メゾン・ド・ヒミコ -①




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沙織
自分と母を捨てて、壁の向こうに去って行ってしまった父。
そんな父を、心の生きている部分で慕いながらも、父を憎む事で
自己への満足感を高め、正当化して納得している。

愛が根底にある、血のつながりの肉親、特に親子の情は、
他人には入る事に出来ない特別な世界でもあり、
血のつながりがもたらす、面倒臭さもある。

そうやって生きてきた沙織に対して、母は自分の知らない所で、
父を許し、壁の向こうの父に会い、楽しんでいた。
そこには、壁を乗り越えていった母の勇気があり、その勇気の源である
父への愛情の深さを感じる事が出来る。

真の愛情を持ち、生きていた母を沙織は、一枚の写真から
確認する事になり、愕然とする。

壁を作っていたのは、自分の心だけだったのだと、すでに気付き、
一歩自分よりも先を歩いていた母に、沙織は尊敬の念さえ感じただろう。
亡き母が、偉大に思えた瞬間でもある。
そして、羨ましさも出てくる。

ただ、そう思えても、複雑な思いは残るだろう。
それが、20代の若さでも在るし、20代の本音なのだろう。


何よりも、偉大な母から取り残されたのが、自分だと気づいた時の
あせりや孤独が沙織を襲った。

父を憎む事で、自分を支えてきたのに、今、それを失ってしまったら、
自分が余りにも不憫でならないだろうと、プライドを振り絞って
父を簡単には許せない、自分もいる。

沙織は父という存在への憧れと、借金を背負っている事から
メゾン・ド・ヒミコのドアを開けた。
 それは、自分で自分の心に作っていた壁が取り壊される
序曲でもあった事を、まだ、彼女は知るよしもなかった。

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by sea1900 | 2005-10-09 16:16 | 映画