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海の上のピアニスト

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「らくだのひとりごと」席を譲らなかった若者より

 電車の座席はほぼ埋まり、車内には立っている人がちらほらいる程度。私の向かい側座席の前には男性1人、女性2人のハイキング帰りらしい高齢者が立っていた。私に背中を向けているから時たま見える横顔で判断するしかないが、60代半ばぐらいか。彼らの目の前の座席には若者2人と50代ぐらいの女性1人が座っている。若者は2人とも茶髪、1人はサングラスをしていた。

 この人たちに気づいたのは、この高齢者組の男性が「最近の若い者は年寄りを立たせても平気なんだから」「ちょっと前は罪悪感からか寝たふりをしたもんだが、最近じゃ寝たフリもしないからふてぶてしい」などと、かなり大きな声で話しているのが耳に入ってきたからだ。どうも自分の前にいる若者に席を譲らせて女性2人を座らせたかったらしい。

 ここまで嫌味っぽく言われると、まったく関係ない第三者の私だってちょっと気分が悪い。すっかり眠気が覚めてしまった。反対側にいる私が席を譲れば、もう1人ぐらい誰か立ってくれるだろうと思って腰を浮かせかかった瞬間、サングラスの若者が口を開いた。

 「あんたたちさぁ、山は歩けるのに電車では立てないの? それっておかしくない? 遊んできたんだろ? こっちはこれから仕事に行くところなんだよ。だいたいさぁ、俺みたいなヤツが土曜日も働いてあんたたちの年金を作ってやってるんだって分かってる? 俺があんたみたいなジジイになったら年金なんてもらえなくて、優雅に山登りなんてやっていられないんだよ。とにかく座りたかったらシルバーシートに行けよ」

 細部の表現は覚えていないながら、こんな感じ。チャラチャラしているように見える若者の意外な発言に正直言ってビックリ仰天した。「お年寄りに席を譲りましょう」とか「お年寄りを大切にしましょう」などというキレイごとを聞いて育ってきた世代の私にしても、彼の言っていることは正論に聞こえた。あたしって壊れてきているのかな? 浮かせかかった腰を再び降ろしちゃったよ。3人の高齢者は凍りついたように黙りこくり、次の駅で降りていった。ほかの車両に乗り換えたのかもしれない。
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以上が夜中に読んだ「らくだのひとりごと」の2005,4,24に書かれ、
すごい数のアクセスになった記事です。
私はこのブログのこの記事が余りにも考えさせられる物なので、
ここに、貼り付けました。

らくださん同様に、若者が年金についての話を出さなければ、よくある話として
話題にもならなかったと思う。
現在では、昔と違って先が解らないし、国民年金が毎年値上がる中で、
一応支払っていたとしても、年になった時にそれが自分に還元されるかどうかが不明だ。

そんなしわ寄せが若者に押し寄せている事は確かで、若者が言った事も的を得ている。
一方、老人も育った時代からの教えが、こうして崩れていく瞬間を、
この若者からの思いを聞いて、知った事だろう。

どちらが良いとか悪いという問題ではなくて、日本が壊れていく事を確認する思いになった。


電車の中での席の問題は、私自身も考えさせられる。
席を譲るかどうかは、優しさの問題で、その時の状況によっても違うだろう。
しかし、この高齢者の男性の発言を聞いたら、私は意地でも譲らないだろう。
ただし、謙虚さが見えたら譲るだろう。

男性はよく、電車の中の8人掛けの席を6人で占領して、
我が物顔で足を広げて、陣取っている姿を見かける。
それは、男性こそが電車のお客であるかのような
嫌な錯覚を覚えてしまう。

私だって、「今時の若い人は・・・・」と言われると、
内心<またか・・・・>と思う事がある。
今時の若い人が、全て悪いような雰囲気を持つこのセリフを
聞く身になると、正直、素直にはなれない。

高齢者が正しくて、若者が間違っているというのは、
単なるジェネレーションギャップにしか過ぎないのだろう。

そして、「今時の若い人」という言葉こそが、
年齢という壁を作っているのだと思う。

物事を考えて生きる力をつけないと、この世は暗い方向にしか
動かないのではないだろうか?


らくだのひとりごと」はこちらです。

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by sea1900 | 2005-09-17 23:10 | 人間

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